それは、ホルモン治療を開始してまもなくのことだ
乳がんの手術で入院中、予定通りに生理が来た
術後療法をはじめれば、「もう生理は来ない」
そう思っていた私は、
「これが最後の生理か...」と、
なんだか“女”ではなくなるような複雑な思いを抱えていた
2週間の入院の最終日――退院の朝、
お腹にLH‐RHアゴニスト製剤を打ってもらい、
さらにその翌朝、初めての抗エストロゲン剤を飲んだ
生理中に卵巣の働きを抑制するホルモン注射を打つことに
少し抵抗を感じたが、
主治医曰く、「関係ない」らしい
ホルモン治療の副作用は、早くも10日後に現れはじめた
最初に自覚した症状は、
“声が出しづらくなる”というものだった
「完全に、身体は薬に支配されている」――
あの時の恐怖感は、なんともいえない
そして、次の生理予定日が近づいてくる
それに伴い、下腹部も重い痛みを増してゆく
「今回は来るかもしれない」
そう思いながら、2度目のホルモン注射を打ちに病院へ
初めて打ってから、4週間後のことだ
主治医に、
「お腹が痛くて生理が来そう」と訴えた
が、主治医は、
「そんなはずはないけどなぁ...」という表情
『でもこの痛みは絶対来る』
それは、
これまで“女”として生きてきた経験からうまれる“確信”だった
そして、3日が経ち、1週間が経過した
それでも出血は見られない
10日が過ぎると、あの確固たる“確信”は揺らぎはじめる
そして、下腹部の痛みもフェードアウト――
「あの痛みはなんだったのだろう...」
そう、ずっと疑問に思ってきた
が、これも抗エストロゲン剤の影響だったのかもしれない
今でも続いている排卵痛などを考えれば、
そう思えて当然だ
抗エストロゲン剤の副作用の中にも
“下腹部痛”とあることからみても、
答えは自ずとそこに辿り着く
なんだか複雑な、病と身体の関係――
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