ベッドに座っている時、体位を直すため、
つい、ついてしまう左腕
その瞬間、左胸に走る、途轍もない激痛...
“乳腺を切除した”といっても
胸の筋肉と切り離している訳で...
この強烈な痛みは、そのせいなのだろう
まさか、これほどの痛みが出るとは
想像していなかった
朝、洗面所で一緒になった、隣の病室のご婦人
50代半ばか、後半...
と、いったところだろうか
デイルームで食事をするときも、
なるべくこのご婦人のグループには
近づかないようにしていた
なぜなら、色々と聞かれそうだったから
きっとこれまでも、詮索されているはずだ
が、ここへ来て、
とうとう話しかけられてしまった
「奥さんも乳がん?」――
排液ボトルも提げていた
私が“乳がん”であることは、
誰もが察しがつく
“奥さん”と言われたことには
わざわざ否定はしなかったが、
仕方なく“乳がん”は認めた
『きっとこのご婦人、
このあと自分の病室に戻ったら、
同じ病室の人たちと
“やっぱりあの人も乳がんだったわ”と、
私の話でもはじめるんだろうな...』
ご婦人は歯磨きを終え、
すすいだ水を吐き出しながら
色々と話しかけてくる
が、私はもう、ほとんど聞いていなかった
なぜなら、腰高の位置から吐き出す水が、
私にバシャバシャかかってくるからだ
この無神経さに嫌悪を抱いた
『おそらく、ご婦人の方が先に退院する。
もう少しの辛抱』――
毎朝の洗顔と洗髪は、動かない左腕との闘いだ
90度しか上がらない腕
なので洗顔は、指先が頬までしか届かない
ほとんど右手で洗うような状態だが、
そこはリハビリも兼ね、
なるべく左手も使うようにする
リンパ節郭清の後遺症は、
手術前は色々と見聞きしてはいたが、
経験して、はじめてその大変さがわかる
お荷物になってしまった左腕
一生、様々なことに
気をつけていかなければならないらしい
利き腕ではなかったことが、
せめてもの救いか...
『“乳がん”って、
おっぱいだけの問題じゃないんだなぁ...』
今日も廊下を歩いていると、
そこここで、
壁に向かって手をあげているおばさまたち
乳がんのリハビリをしているようだ
みんな私より腕が上がっている
“1ヶ月でほぼ正常に動かせるようになり、
半年くらいで元の力が取り戻せる”
と、リハビリ書には書かれていたが、
本当なのだろうか
なんだかそんな気がしない
でも、
1日でも早くボウリングに復帰するためにも、
頑張らなければ...
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