りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

2016年09月

母の形見

窓に結露

秋の空――

    秋の夕暮れ ①

秋の夕暮れ ②

燃えるような空

ありがたい景色

「生きていてよかった...」

そう思える瞬間だ


母が亡くなって、1年と2ヶ月

考えてみると、母の形見は一つもない

洋服は、サイズも好みも全く合わない

宝飾品も、母は持っていなかった

あったものは、決して“高価”とはいえない、
ネックレスや指輪やブローチ

それらは全て、
親戚や知り合いの手に渡った

私の手元に残ったものは、
私が産まれた時の母子手帳だけ

これはさすがに、
“形見”とは言えないだろう


母が亡くなったあと、
家の片づけをしていると、
台所になぜか4種類のスパイスがあった

若干使われた形跡はあったが、
ほぼ一杯の状態で残されていた

おそらくカレーにでも使っていたのだろう

凝った料理など、全くできないあの母が...

“カレーは、ルーを溶かすだけ”の、
あの母が...

その母が“スパイス”?

きっと、

「身体にいい」

とかなんとか、誰かに教えてもらったのか...


棄てるのも勿体ないので、
持って帰って来た

カレーを作るたび、
そのスパイスを使った

そして今日、そのスパイスを使い終えた

無くなった

あの、料理が下手な母が使っていたスパイスが、
無くなった

母の物が、
本当にもう無くなった...


そう思ったら、なんだか切なくなってきた

なんだか泣けてきた

真っ赤な夕陽が目に沁みた――


  明日から10月。

  10月は、
  乳がん啓発運動『ピンクリボン月間』です。

  私も明日、
  乳がん啓発のお手伝いをさせていただきます。

  「お近くにお住まいの方には、
   是非、足を運んでいただけたら...」

  と、思っています。




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どんどん短くなる睡眠時間

寝覚めが悪い朝だ

どんよりと重い空がそうさせたのか...

やっぱり朝は、青空で目覚めたいものだ


さて、

「時間が勿体ない」――

これは、もともと、私の口癖だった

そんな私が乳がんになり、
もっと「時間が勿体ない」と思うようになった

「命には期限がある。
 だから時間を無駄には使えない」

そう思うようになった


生きているうちにできること...

今のうちにしておかなければならないこと...

数分の待ち時間でさえ、無駄な時間に感じた

人生、
そんなに突っ走ってばかりはいられないのに、
生き急いでいたな...


そして、年々短くなってゆく睡眠時間

乳がんになって最初の2年は、
“がん”という病のせいで眠れなかった

そこに薬の副作用も加わり、不眠は続いた


眠ること自体も怖かった

「明日の朝、目が覚めるのだろうか...」

そんな不安に、毎晩襲われた

朝が来て、目を覚ますと、

「あぁ、今日も生きていた」――

そんなふうに思った


そんな今は、
寝るのが勿体なくて、つい夜更かし

すっかり寝不足続きだ

が、1度短くしてしまった睡眠時間を
再び戻すのはなかなか難しい

しっかり睡眠をとることも、
生きていくために大切な仕事なのに...


しんと静まり返った漆黒の闇

窓の外に見える家々の窓に灯りはない――

そんな孤独も、
ここに生きていることを強く感じさせてくれる


昔、母に、言われたことがあったっけ

「そのうち、一生眠れる」

と...

“なんて母親だ...”と、
心の中で反抗したっけ...


さて、今日は少し早めに
冷たいベッドに入るとするか――



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ホルモン治療終了後、再びエストロゲンに曝される不安

5年続けてきたホルモン療法

使用した薬は2種類

卵巣の働きを止める注射と、
がん細胞にとり付く、
疑似エストロゲン剤の服用だ

この2種類は、同時進行で使われる

注射は2年間

飲み薬は5年

なので、最初の2年は重なっている訳だ


『ホルモン療法は5年で十分な効果がある』――

  殊に飲み薬は、
  5年以上服用しても効果は変わらず、
  子宮への悪影響が懸念される


というデータのもと、私たちは治療をしている


が、卵巣の働きを止める注射が終了し、
エストロゲンが再び分泌をはじめるようになると、
“再発”の2文字が濃くなってゆく

身体に残されているかもしれないがん細胞

エストロゲンが
がん細胞に取り込まれるのを阻止すべく、
疑似エストロゲンが先回りをして
頑張ってくれているのだが、
その仕組みさえも不安になってゆく

結局、エストロゲンは分泌されている

“眠っているがん細胞が
 再び活発に増殖をはじめることはないのか”――


卵巣の働きを止める注射が終わって、
まもなく8年

飲み薬を終えて、まもなく5年

飲み終えた翌日から
薬の効き目がなくなるわけではないと思うが、
それでも5年、
再び身体はエストロゲンに曝されている訳で...


“再発”という不安の中で、
“5年治療のデータ”は、
頭の中で崩れてゆくのだ――



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画像診断の必要性は...

“無駄な検査”といえば、
私たちが当たり前のように受けている、
CT検査が真っ先に頭に浮かぶ


日本では、手術のあと、
定期的に画像検査をすることがほとんどだ

が、アメリカではしない

いつからなのかはわからないが、
私が乳がんになった当初から
すでにそう言われていた


画像検査は、再発(転移)がないかを調べるため

が、再発は、

“画像検査で早期に見つけても、
 自覚症状があってから治療をしても、
 治療成績は同じ”

というのが理由だ

素人的には、

「少しでも早くに見つけて治療をした方が、
 自覚症状が出るのを
 遅らせることができるのではないか...」

そう思ってしまうのだが...


そして、
画像検査をしないもうひとつの理由は、
おそらく、“被曝”の問題だろう

“検査時の被曝は微量”とはいうが、
実際にはどうなのだろう

何年にも渡り放射線を浴び続けるのは、
少なからず、人体には影響が出そうな気がしてくる

まして年齢が低ければ、
人生に於いての被曝量は増える訳だ


が、検査をしないのも、この上なく不安である

「身体の中で、
 がんが暴れ出しているのではないか...」

きっと、そんな思いに苛まれるだろう


例えば、ある時、
腰が痛いことに気がつく

が、それが、再発なのか、
それとも、
ただの腰痛なのか判断がつくのだろうか

自覚症状が出てからでは、
遅いような気がしてしまうのは、
素人的発想なのか...


そんな私も、年が明けたら
最後の画像検査が待っている

術後10年目の検査だ

前の主治医からは、

「アメリカでは画像検査はしないし、
 りかこさんの場合、
 10年やらなくても5年で終わっていいよ」

そう言われていたが、術後5年を目の前にして
主治医が変わった

新しい主治医は当然のことながら、
6年目の検査の話を持ち出す

新しい医師の見解は、
「やはり、10年は検査をした方がいい」

とのことだった


医師が変わると、患者は戸惑うことが多い

私も半年ほど悩んだ

看護師さんにも相談してみた

「りかこさんが納得できる方法を
 選択した方がいいよ」

とのことだったが、
どちらも充分に納得できる答えは出なかった


「1年に1度の健康診断だと思えばいい」――

そして、ある医師の、こんな言葉を思い出した

「そっか、“健康診断”か。
 毎年人間ドックを受けている人も多い訳だし...」

実際に、“受けない”となると楽にはなるが、
その不安は相当大きなものだった

そして来年、最後の画像検査を終えたら、
きっと不安になるのだろう

いや、実際、今から不安である

「もし再発していても、
 わからないまま過ごすのか...」

まぁ、それもありなのかな――


  そんなこんなで、やっぱり“がん”ってやつは、
  いつまでも
  不安が消えることのない病なんだ...



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あ...

あ...晴れた

朝の空


朝起きて、カーテンを開ける

期待は“青い空”

天気予報は“晴れ”だったから


が、窓の向こうに広がっていたのは
真っ白な空

青い空は、
すべて白い雲で埋め尽くされていた

「今日は晴れるはすじゃ...」

一気にテンションが下がる


が、しばらくすると、
徐々に青い空が姿を見せ始めた


やっぱり、朝の青空は気持ちがいい

心を元気にしてくれる

心が元気だとやる気も湧いてくる


さて、今日も1日、目一杯生きるとしよう――



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りかこプロフィール

 
★2009年5月より
医療機関開催“がんサロン”発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆

★2010年9月
市広報にて体験記掲載

★2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

★2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

★2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

★2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

★2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

★2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

★2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

★2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

★2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

★その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

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★国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

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★子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

メッセージはこちらへ
乳がん履歴
★2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

★2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

★2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

★2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

★2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

★2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

★2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

★2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

★2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
★がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER 90%
 ・PgR 10%
 ・HER2 (-)

★術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

★治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
★2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫  1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫 4個

★2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症発症(両足)
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
★2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

★2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

★2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

★2009年5月
 頸部再発(切除手術を受ける)

★2012年5月
 肺転移確認

★2015年5月
 小脳転移確認

★2015年7月18日
 永眠

  ※再発後の治療法・治療薬なし
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≪2015年9月2日より、コメント欄を閉鎖させていただいております≫

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≪2016年12月3日分より、コメント欄を閉鎖させていただいています≫


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≪ランダムで開放しています≫


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