「結婚はいつ?」
結婚をしたと思えば、
「子どもはまだ?」――
今でこそ様々な配慮から、
そのような言葉も聞かれなくなったが、
私が20代の頃は、そんな時代だった
“結婚はするもの”
“女は子どもを産むもの”――
子どもの頃、
そんな時代に育ってきた私は、
“結婚をして子どもを産むことは当たり前”
なことだと思っていた...
“子ども”って、やっぱり可愛いのかな...
私は手を上げられ、
投げかけられた言葉に傷つきながら生きてきた
だから、正直、
“親の愛情の深さ”というものを
理解できないこともある
そうやって育てられた私は、
自分が産んだ子にも、
同じことをするような気がしていた
いや、実際、
“虐待を受けて育った人が母親になると、
自分の子どもにも手をあげる”
というデータがあるらしい
“子ども”って...
10ヶ月間、胎内で育て、
お腹を傷めて産んだ子って...
何物にも代え難い宝なんだろうな...
かけがえのない命...なんだろうな...
そんなことも実感できずに、
私は今、ここに生きている
守るべきものもなくて、
一人の闘病が気楽でもあり、
孤独でもあり...
両親に孫を抱かせてあげられなかったことは、
最大の親不孝なのだろうか
私の乳がんがわかって、
「治療をしたら子どもが産めなくなる」
と、母に告げたとき、母はどう思っただろう...
妹に子どもが生まれたとき、
安心感のような...
これで、もっと、
私は不要な存在になったような...
複雑な思いがした
妹から送られてきた赤ちゃんの写真も、
まともに見ることはできなかった
写真が送られてきたことが、
子どもが産めなくなった私への嫌味なのか...
と、思ったりもした
父に、
「これ、やる」
と、妹の子どもの
命名の色紙を手渡されそうになったときは、
『なんて無神経な親なんだ』
そう思った
私は一生、“母親”にはなれない――

ふと、昨年亡くなった母のことを思い出して、
そんなことを想う、
物憂げな秋の昼下がり――
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