りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

2019年05月

がん告知が、人生の本当のはじまりである。

がん告知の瞬間は、
まさに人生が変わった瞬間

これまでの生き方がストップし、
新たな道に迷い込んだ感覚だ

しかもその道は、
決して平坦ではない長い道のり...



手術、治療...と、
その闘いは生半可なものではない

その中で、
“死”というものを側に感じながら、
“生きること”を考えさせられた


そして、
こうして生きていることに感謝をし、
これから生きていくことの大切さを知る



そんな12年――

おそらく、
私の人生の半分以上は“乳がん”だ

  手術の痛み、体調含め...


“人生の半分以上が乳がん”――

そう考えると
あまり気持ちがいいものではないが、
乳がんになったからこそ、
今の私があるのは間違いがない


乳がんになっていなかったら――

ナンセンスではあるが、
そんな想像をしてみることも、ないわけではない

おそらく、

仕事を辞めて、
結婚をして、
子どもを産んで、
ごく普通の主婦をしている

...だろうか


まぁ、あり得ない現実である

だって、今の私は乳がんなのだから



“人生の半分以上は乳がん”...か...


改めて考えると、長い人生だ


乳がんになったからこその人生

その中身は、きっと濃い



  これからも、
  こうして生きていられることに、

  美味しいものを食べられることに、
  感謝をしながら...



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“希少がん”


  希少がん――

   『新規に診断される症例の数が
    10万人あたり年間6例未満のがん』


...という定義があるらしい



私は“乳がん”


決して珍しいものではなく、今では、

「日本人女性の、9人に一人が罹る」

とも言われている



その“乳がん”

例えば、

ホルモン剤が効くタイプ

そのホルモンも2つの種類がある

そして、閉経前、閉経後でも
使用する薬が違ってくる


さらには、
化学療法しか効かないタイプ

そして、進行が早いタイプ


...と、一言で“乳がん”といっても、
そのがん細胞の性質は様々だ



私のがん細胞は、

「乳がんとしては稀なもの」

と言われている


私の場合は、
ホルモン剤こそ有効ではあったが、

化学療法も
放射線治療も効果のないがん細胞

進行が遅いのも特徴らしい


当時、主治医が調べてくれたが、
この細胞の乳がんは1~2%

  気を遣ってか、主治医は、
  「2~3%」と言い直してくれたが...


他都市の乳腺専門医にも、

「あなたの聞き間違いではないか」

とまで言われた


“稀ながん細胞”ではあるが、
おそらく、
“希少がん”には当たらない

それは、

「年間約9万人が罹る」

と言われている“乳がん”だから

“希”で“少ない”がん細胞であっても、
多くの女性が罹る“乳がん”なのだ



だからきっと、新薬の研究もされていない

「何万人に一人がかかる」

と言われている難病は、

「長い年月と莫大な研究費、労力をかけても
 利益が出ないことから、研究が進まない」

そう聞いたことがある


「命...

 が、やはり、利益優先か...」



近年のがん治療は、目覚ましい進歩だ

“新薬”...

と願っていたが、
“遺伝子”レベルでの治療に
期待をするしかないのだろう


治りづらいがん、
再発をしやすいがんがまだまだある

そんながんのためにも、
“すべてのがんに有効で安全な治療法”が、
一日でも早く、
開発・実用化されることを願って――



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冷んやりと、朝――。

雲ひとつない青空――


きのうの大雨が

嘘のように晴れ渡っている




そんな朝


鼻先も冷える、気温5度



ここのところの暑さに慣れた身体には

響く寒さだ




こんなときは

体調を崩さないように

気をつけ化ければ...





さ、

まずは熱いコーヒーで

温まるとしよう――



2019/05/30 朝



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実名を公表することに、意味はあるのか――

「私は乳がんです」

と、実名を添えて公表することに
意味はあるのか...

と、時々考える



私が初めて実名を公表したのは、
参加しているがんサロンだった

乳がんの手術をしてから2年が経ったときだ

そこで、
乳がん体験記を執筆することになったのが
きっかけ

そこからブログ、
そして乳がん体験記の書籍の出版へと
つながってゆく


サロンの執筆の実名の公表には
正直、かなり戸惑った

実生活でも
病気のことを伝えている人は限られていた


心のどこかに、

「乳がんのことは隠したい」
「知られたくない」

という思いがあった


仕事のこと、
近所の人たち、
親戚...

と、病気のことを知られたあとの
生活も気になった


が、そんな思いの裏で、

「誰かが病気のことを
 伝えていかなければならない」

「がん患者が置かれている実態や現状、
 そして抱えている思いを、
 誰かが吐露していかなければならない」

という気持ちもあった


公表に踏み切ったのは
病院の関係者に言われた、

「実名を公表することで、
 勇気をもらえる人がたくさんいると思う」

という一言だった



...が、本当にこれでよかったのか、
正直、今も悩むことがある


実名を公表することは、
時に、
私自身のプライベートにもかかわってくる

もちろん、
逃げることも休むこともできない

いつも傍らには“乳がん”がある



「実名を公表したことに後悔はない」

と、言い切れないのが正直なところだ


が、

「勇気をもらった」
「励まされた」

という言葉をいただいたときが、
救われる瞬間でもある



まぁ...

私の場合、乳がんの一歩目が、

“見落とし”

からはじまっている


視触診だけで、

「若いから」というだけで、
“良性腫瘍”と診断された

詳しい検査もなく、
「そのままにしておいていい」という言葉だけで、
その後のフォローもなかった


だから、
伝えていかなければならないことは多かった



少しでも、誰かのために...

何かのためになっているのだろうか


芸能人や著名な方ではなく
一般人が公表することで、

もっと現実味のある、
もっと身近なものとして
感じてもらうことができるといいのだが――



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雨音で目覚める朝は――。

雨の音に起こされる早朝


久し振りの、まとまった雨だ




そんな今日の気温は18度の予報


3日前の38度越えを経験した身体には、

寒ささえ覚える




まぁ、

熱いコーヒーを飲むには適度な気温である



2019/05/29 朝

    カップから立ち昇る湯気が、
    天使の羽のようにも見え...



さ、

気温差の激しいこんなときは、

風邪に気をつけなければ――



  そういえば、朝、ちょっと咳が出た


  今なら慣れたものだが、

  乳がん治療中は、

  “肺転移”

  という言葉が脳裏をかすめていたっけ...



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りかこプロフィール

 
★2009年5月より
医療機関開催“がんサロン”発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆

★2010年9月
市広報にて体験記掲載

★2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

★2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

★2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

★2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

★2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

★2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

★2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

★2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

★2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

★その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

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★国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

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★子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

メッセージはこちらへ
乳がん履歴
★2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

★2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

★2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

★2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

★2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

★2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

★2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

★2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

★2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
★がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER 90%
 ・PgR 10%
 ・HER2 (-)

★術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

★治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
★2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫  1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫 4個

★2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症発症(両足)

★2024年10月
 骨粗鬆症が判明
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
★2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

★2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

★2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

★2009年5月
 頸部再発(切除手術を受ける)

★2012年5月
 肺転移確認

★2015年5月
 小脳転移確認

★2015年7月18日
 永眠

  ※再発後の治療法・治療薬なし
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