りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

2020年09月

“頭が真っ白”という現象 ~がん告知の瞬間~

『頭の中が真っ白になる』という表現がある

いわゆる、“頭が真っ白”というアレである

「なんで私が?」という思いとともに、
がん告知を受けた人のほとんどが感じた思いだろう



『頭の中が真っ白になる』の意味は、

“あまりの衝撃で、なにも考えられなくなる”

...といったところだろうか



がん告知の瞬間が、
『頭が真っ白』という言葉で表されるとしたら、
私の場合はちょっと違う感覚だった

一言でたとえるなら、

「頭の中がぐちゃぐちゃ」

強い衝撃を与えられた脳みそが、
一瞬にしてバラバラになった感覚だった

頭の中は、灰色

ちょうど、セメントのような色合いだ


そして、“なにも考えられなくなる”どころか、
言いたいことが沸々と湧き上がってきた


  4年8か月前、“良性”だって言ったじゃん

  どうしてあのとき、
  きちんと検査してくれなかったのよ


   ――しこりをみつけて初めて受診したとき、
     視触診だけの診察だった

     きっと、しこりも動いている*し、
     年齢的にも「がんではない」と思ったのだろう

      *)・・・一般に、
          『“がん”はベタっと貼りついて動かない』
          と、言われているが、
          私はコロコロとよく動いていた

          それは、良性腫瘍である“乳腺線維腺腫”と
          同じ症状だ


  そのとき、“良性”と診断したとしても、
  「そのままにしておいていい」はないよね

  せめて、
  「定期的に検査しましょう」と言ってくれていれば...


  もう5年近くがんを放置しているんだよ

  身体の中、がんでいっぱいじゃん

  私、いつまで生きられるの?

  もうすぐ死ぬじゃん――



そんな怒りが、頭の中いっぱいになった

結局、私は何一つ言葉にできず、
その思いは涙となって頬を伝った



『頭が真っ白』どころではなく、
怒りと憤り、そして絶望でいっぱいだった、
私のがん告知の瞬間


まぁ、私の場合、
ちょっと異例ではあったが...


  やっぱりみんなも、
  『頭が真っ白』になったのだろうか――



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男性医師には、きっとオンナゴコロがわからない。

がんになると、まず、
「いつまで生きられるのだろう...」と、思う

そして乳がんの場合は、そこに、
“乳房がなくなる”という衝撃が加わる

“全摘”になるのか、それとも“温存”できるのか、
女性としては大きな問題だ



私の場合は、外科的生検を受けた病院では、
「温存できる」と言われていた

が、
がん治療ができる病院に移ったときの診断は、“全摘”

外科的生検でしこりの一部を取り出してしまったため、
周囲の組織が硬くなり、
「がんの広がりがわからない」とのことだった

  ※通常は、まず“針生検”をするのだが...


すったもんだの末、
手術台に横になり麻酔をかけられる直前に、
「温存でやってみよう」ということになった

が、「胸を開けてみて、ダメだったら全摘」

麻酔が覚めるまでわからない、
“一か八かの温存”でもあった



がん治療ができる病院に移り、
「全摘」と言われたときは耳を疑った

前の病院で「温存できる」と言われていたので、
まさか全摘になるとは
これっぽっちも思っていなかったのだ

そのとき主治医に言われたのは、

「(乳房を)えぐり取ってまで、
 先(乳頭)を残しておくものでもない

 全摘して、“再建”という方法もあるよ」

という言葉だった


主治医は、先(乳頭)にこだわっていた

医学では“温存”というと、“乳頭を残すこと”なのだろうか

が、私は、“先”は、どうでもよかった

全摘をして肋骨が露になるより、
少しでもふっくらとしたふ膨らみを残したかったのだ



それに、再建はしたくなかった

乳がんの手術をするだけでも痛い思いをする

なのに、再建で、
自ら痛い道に飛び込む気持ちはなかった

それに当時は、再建は保険適用外

私には到底、払えるだけの金額ではない

この病院で再建手術をやっているわけでもなかった

乳がんになって乳房を切り取る――

そこは、潔く、「病と向き合っていこう」

そう思った



「再建はするつもりはないです」

そういう私に、主治医は、

「みんなそう言うね」

と、言った

都会では再建をする人も多いのかもしれない

が、さすがにこんな地方では、
再建を望む人はいないようだ

保険適用外、
そして、他都市でなければ受けられないとなれば、
再建を望んでいても諦める人が多いのかもしれない



結局、“医師”と言っても“男性”

女性の気持ちはわからないのかもしれない

“女性の気持ち”より、
“医学”として割り切られていると思った


まぁ、“がんの治療をする”のだから、
その通りではあるのだが...



こんなに小っちゃいおっぱいでも、
失うのはやっぱり嫌なものである――




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その差、20。

4.1度の朝


窓にびっしり貼りついた結露


ストーブの炎が心地好い――



そんな朝





が、日中は、25度の夏日になるらしい



...まぁ、そんな季節





さ、

久し振りにコーヒーでも落とそう――



2020/09/29 朝




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今なら、どう感じるだろう... ~『はなちゃんのみそ汁』~

4年前に観た映画

『はなちゃんのみそ汁』――



2020/09/28 『はなちゃんのみそ汁』



実は、この映画を観る1年ほど前まで、
私はこの話を知らなかった

“無料鑑賞券”に当選したものの、
観るのが少し怖い気もした



が、映画は意外とコメディタッチ

もっとじっとりと重いものかと思いいていたが、
初っ端から気持ちが軽くなった


乳がんになった主人公の父親が口にした、

「病気は何もかも奪うけん」

その言葉が重く心に響いた


そう...

病はたくさんのものを奪ってゆく――




つらい抗がん剤治療の中で、
彼女の心は揺れ動く

「こんなつらい思いをするくらいなら、
 死んだ方がマシ」


が、副作用が軽くなってくると、

「生きて生きて、生きてやる」



そのとき、

「治療のつらさに“死”を考えるのは、
 私だけじゃないんだ...」

と、安堵したのを覚えている



この映画は、色々な立場の人が、
様々な観点から考えさせられるだろう

私は乳がん

だから、“乳がん患者”としてみてしまう


が、親、夫、まだ幼い子ども...

それぞれが抱える思いを感じることができる




ここのところ続いている著名な方たちの死

“自ら命を絶つ”という連鎖に、
なんだか突然、

『はなちゃんのみそ汁』が観たくなった

“命”を感じたくなった


4年前と、今と...

少し、その見方が変わるだろうか――



  ただ、強く思うことは、

  「“がん”は、
   きちんと医療の力を借りて治療をすべき」

  ...ということだ




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冷たい雨。哀しい朝。

今日も雨のはじまり



窓には哀しみの涙のような結露が

外の景色に靄をかけている




テレビを点ければ、

きのう亡くなった女優さんの話題で持ちきりだ



報道するのは仕方がない


が、あまり見たくない思い


そして、過剰に報道することで、

「“そっち”の方向へ流される人がいるかもしれない」

という懸念――





部屋の片隅では

静かにストーブの炎が燃えている




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りかこプロフィール

 
★2009年5月より
医療機関開催“がんサロン”発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆

★2010年9月
市広報にて体験記掲載

★2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

★2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

★2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

★2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

★2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

★2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

★2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

★2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

★2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

★その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

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★国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

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★子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

メッセージはこちらへ
乳がん履歴
★2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

★2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

★2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

★2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

★2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

★2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

★2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

★2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

★2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
★がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER 90%
 ・PgR 10%
 ・HER2 (-)

★術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

★治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
★2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫  1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫 4個

★2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症発症(両足)

★2024年10月
 骨粗鬆症が判明
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
★2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

★2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

★2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

★2009年5月
 頸部再発(切除手術を受ける)

★2012年5月
 肺転移確認

★2015年5月
 小脳転移確認

★2015年7月18日
 永眠

  ※再発後の治療法・治療薬なし
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   © Rikako,2011

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