りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

2020年10月

“普通”が遠い。

黙々と、一人、練習――


そこは、ボウリング場

閑散としたセンター内に、
ボールの着床音とピンが弾け飛ぶ音が響く


そんな中、今日は珍しく、
次々とお客さんが入ってくる

いつしか私の隣には、3人連れのご家族

女の子は2~3歳だろうか

ひとりでは重いボールを持てないため、
父親と一緒に楽しそうにボールを転がしている

ふと、その後ろに目を遣ると、
お母さんがスマートフォンで
そんなお子さんの動画を笑顔で撮影している


なんとも温かな光景だ...


そこにあるのは、“幸せな家庭”――


そしてその瞬間、
“虚しい”とか、“切ない”とか...


なんとも言えない感情が襲ってきた



それは、昔、私が夢見ていた姿

“結婚をして、子どもを産んで、
 しあわせな家庭をつくる”

そんな漠然とした、子どもの頃からの夢だ


“普通”だと思っていた、“子どもを産む”ということ

“普通”は、“当たり前のこと”だと思っていた

まさか人生の中で、
“子どもが産めなくなる”とは思ってもいない


“普通”は遠い...


なんだか自分が情けなく思えた

ちっぽけだった



゜゚*☆*☆*゚ ゜゚*☆゜゚*☆*☆*゚ ゜゚*☆゜゚*☆*☆*゚ ゜゚*☆



  そんな今日は、ハロウィン

  しかも満月

  さらに、
  1か月に2度、満月があるというブルームーン

  さらに、さらに、
  今年一番小さく見える満月、"マイクロムーン"


  “ハロウィンの満月”は、日本では46年振りだとか

  ここ北海道では、“観測史上初”のことらしい



  そして、夕方

  東の空に昇ってきた、大きなオレンジ色の満月

   まだ地平線の近くなので、
   月がちょっと歪んで知る



2020/10/31 ハロウィン・満月・ブルームーン


  それはまさに、“ハロウィン的”な光景...


  美しい月を観られたことに感謝――



    次の機会は38年後

    もう無理だな......




   1日1回、応援のクリックお願いします
       日々の励みになります
    両方押していただけると嬉しいです
       ↓         ↓
    にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
  人気ブログランキング   にほんブログ村


 ★しこり発見から治療までの経緯は⇒
こちら

 ★さらに詳しい経緯を更新中⇒≪私の記録≫から



“縁起がいい”とか“悪い”とか ~がん患者のがん掛け~

今日は十三夜

が、私の街は朝から大雨

月は観られそうにない


そういえば、
先日の十五夜も天気が悪く観られなかった


“十五夜と十三夜の両方の月を観ると、縁起がいい”

...らしい


「両方観られなかった私は、相当縁起が悪い」

...のだろうか


  しかも今日は、1か月に2度ある満月、
  “スーパームーン”だ




そもそも、“縁起がいい”とはなんなのだろう...


もともと私は、信心深いわけでもない

生まれて初めての初詣は、
乳がん告知後だった

このときばかりの“神頼み”

これじゃあ、神にも見放されそうである



が、

がんになると、助けを求めたくもなる

なにかに縋りたくもなる

まさに、“がん患者のがん(願)掛け”である



きっと、そんな人は多いのだろうな


やっぱり“がん”は、
人の気持ちをそうさせる病なのだ――



  『苦しい時の神頼み』とは、よく言ったものである




   1日1回、応援のクリックお願いします
       日々の励みになります
    両方押していただけると嬉しいです
       ↓         ↓
    にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
  人気ブログランキング   にほんブログ村


 ★しこり発見から治療までの経緯は⇒
こちら

 ★さらに詳しい経緯を更新中⇒≪私の記録≫から



“乳がん”って、なんだろう...

「“乳がん”ってなんだろう...」と、思うことがある


乳がん歴、13年

それでもまだ、「治った」とは言えない

たぶん、きっと、“乳がん”というレッテルは
一生剥がれない


手術をした身体には傷が残り、痛みが残る

腕にも後遺症があり、
身体も手術前の体調には戻らない



そして、次々と新たに乳がんになる人たち

そこには涙がある

治療への不安がある

先の見えない真っ暗なトンネルに迷い込む――



もう、こんなにつらくて悲しい思いをする人が
出ないでほしい


『早期なら、完治も可能』と言われている“がん”

でも、がんになると、そうは思えない


やっぱり、哀しくてつらい病だと思う

やっぱり、未来をも奪いかねない病だと思う




13年、がんをやってきた

でも、がんであることを忘れた日はない

そんな中で、
これからもきっと生きていかなければならない


それはなにも、哀しいことだけではなく

がんだから感じるしあわせもある

がんだから発見できる感動もある

がんだから、与えられる優しさもある


全てひっくるめて、“がん”


いいことも悪いことも



それを知っている私たちは、
きっと、濃い人生を歩いてゆける


深い哀しみを知っている人は、
きっと、ひとにも優しくできるから

痛みを知った分、
誰かの痛みを理解できるから




   1日1回、応援のクリックお願いします
       日々の励みになります
    両方押していただけると嬉しいです
       ↓         ↓
    にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
  人気ブログランキング   にほんブログ村


 ★しこり発見から治療までの経緯は⇒
こちら

 ★さらに詳しい経緯を更新中⇒≪私の記録≫から



個々にある、治療の選択。

私が子どもの頃は、
“医者の言うことは聞くもの”だと思っていた

風邪をひいても、
怖くて病院に行くのがいやだった

高熱と吐き気で、
3日間飲まず食わずで寝たきりになったときは、
さすがに両親に病院に連れて行かれる羽目になる

  まぁ、そこまでの状態に陥らなければ、
  病院には連れて行ってくれなかった親だった


「ちゃんと症状、先生に言うんだよ」

と、母に念を押されるも、
医師の正面に置かれている、
あの座りづらい丸椅子に腰を下ろすと、
緊張で自分の症状をすべて伝えることができなかった


そんな幼少期を過ごした私の中には、
“医者は偉い人”という偏見が立ちはだかっていた



“医者”のイメージが大きく変わったのは、
乳がんになってから

「はじめまして。○○と申します」

と、頭を下げて挨拶をする

  開業医のおじいちゃん先生は、
  未だに偉そうにしている医者もいるが...


そんな、昔の医者とは全く違うイメージに面を食らった

しかも、
“インフォームドコンセント”だの、
“セカンドオピニオン”だのと、
時代はまるで変わっていた


そんな中、困ったのは、
“患者自身が治療を選択できること”

医者の言うなりではないのだ

が、病のことはまるで素人

乳がんを告知されたばかりで、
頭の中が整理もつかない状況での治療の選択は、
患者にとっては酷でもあった



私はがん告知時、遠隔転移していたため、
手術より先に抗がん剤治療をすることになった

「する」と言われれは、“するもの”だと思っていた

そして、主治医はこう付け加えた


「一応、“ファーストライン”というのがあります
 それは髪の毛が抜ける抗がん剤です

 でも、例えば、
 “モデルをしているので
  髪の毛が抜けるのが嫌”というのであれば、
 ちょっと弱い抗がん剤をする方法もあります」――



「そこまで自分で選択してもよいのか...」

と、驚いた

が、
それは私にとっては贅沢でわがままなことだった

なぜなら、まず、“命”

命がなければ好きなことも続けられない

それに、
“弱めの抗がん剤”という言葉にも引っかかった

「効かなかったら終わりじゃん。
 まずは、しっかり治療をすること。
 最初にやるべきことをやっておかなければ、
 きっと、がんには勝てない」

そう思った

しかも私の場合、
そんな悠長なことを言っていられる状況ではなかったのだ



それぞれに、治療の選択はあるのだと思う

それは、その人の生き方であり、
置かれている環境の違いでもある

納得した治療を選択するのがベスト...

いや、“ベター”と言った方がいいのだろうか



如何わしい“なんとか療法”というものに手を出すのも、
その人の選択...


が、

おかしな“療法”に手を出し、
命を落とす人がいなくなることを願いたい――



   1日1回、応援のクリックお願いします
       日々の励みになります
    両方押していただけると嬉しいです
       ↓         ↓
    にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
  人気ブログランキング   にほんブログ村


 ★しこり発見から治療までの経緯は⇒
こちら

 ★さらに詳しい経緯を更新中⇒≪私の記録≫から



白銀の世界の前の、鮮やかな色。

きのうの午後


いつもの通り道を、いつもと違う時間に通った




道端には、真っ赤に染まった木々



2020/10/28 紅葉




そこには気づかなかった景色があった




これから迎える、水墨画のような色のない世界



色づいた自然を見られるのも、もう最後だ




この色を、目に焼きつけておこう――




   1日1回、応援のクリックお願いします
       日々の励みになります
    両方押していただけると嬉しいです
       ↓         ↓
    にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
  人気ブログランキング   にほんブログ村


 ★しこり発見から治療までの経緯は⇒
こちら

 ★さらに詳しい経緯を更新中⇒≪私の記録≫から



りかこプロフィール

 
★2009年5月より
医療機関開催“がんサロン”発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆

★2010年9月
市広報にて体験記掲載

★2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

★2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

★2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

★2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

★2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

★2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

★2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

★2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

★2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

★その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

★国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

★子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

メッセージはこちらへ
乳がん履歴
★2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

★2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

★2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

★2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

★2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

★2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

★2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

★2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

★2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
★がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER 90%
 ・PgR 10%
 ・HER2 (-)

★術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

★治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
★2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫  1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫 4個

★2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症発症(両足)

★2024年10月
 骨粗鬆症が判明
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
★2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

★2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

★2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

★2009年5月
 頸部再発(切除手術を受ける)

★2012年5月
 肺転移確認

★2015年5月
 小脳転移確認

★2015年7月18日
 永眠

  ※再発後の治療法・治療薬なし
ブログ記事検索
月別アーカイブ
たくさんの仲間のブログが見られます
Pinky Ring 黒


子ども虐待防止『オレンジリボン運動』
子ども虐待防止「オレンジリボン運動」
コメント欄について
★コメント欄は、2013年11月28日より認証制とさせていただきました。
 これまで通り投稿していただけますが、コメントが反映されるまでお時間をいただくこととなります。
 非公開希望の方は、その旨書き込んでいただけるとそのように対応いたします。

★また、2014年5月22日より、スマートフォンからのコメント投稿による誤送信を防ぐため、画像認証制を取り入れさせていただきました。認証英数字は“半角”での入力をお願いいたします。
 お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

★営利目的だと思われるリンク、また、不当なリンクやコメントは削除させていただいています。また、個人を特定するものや商品名なども、編集・削除させていただく場合があります。

~~~~~~~~~~~~~~

≪2015年9月2日より、コメント欄を閉鎖させていただいております≫

~~~~~~~~~~~~~~

≪2016年11月2日分より、コメント欄を開放しております≫

★非公開希望には対応しかねますので、コメントの投稿を控えていただきますようお願いいたします。

★個人を特定するもの、商品の宣伝、不当なリンクなど、編集・削除させていただく場合があります。

★公開が原則となっています。良識のあるコメントをお願いいたします。

~~~~~~~~~~~~~~


≪2016年12月3日分より、コメント欄を閉鎖させていただいています≫


~~~~~~~~~~~~~~


≪ランダムで開放しています≫


『りかこの乳がん体験記』QRコード
QRコード
ライブドアアプリ読者登録
LINE読者登録QRコード
著作権について
   © Rikako,2011

このブログの文章・画像などの無断使用を禁止いたします。