りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

2021年05月

“時”は、“金(カネ)”ではなく“命”。

『Time is money』という言葉がある


日本語で言うと、『時は金なり』

“時間はお金と同じように貴重なものである”

という、アメリカの有名な格言である



私が初めてこの言葉に出逢ったのは、
いつだっただろう...

まだ10代...
いや、20代になっていただろうか

まだ、
“時”の大切さもよく理解できていない年齢

が、
「なるほど」と、妙に納得した記憶がある




そして最近、こんな言葉を使っていた人がいた


それは、


  『Time is “life”』



“money”より、しっくりくる言葉だ


殊に、私たちがん患者は、
がん告知と同時に誰もが“死”を描く

そして、命の尊さ、儚さと向き合う

そこには、誰もが避けられない“命の期限”がある


まさに“時”は、命そのもの

人生そのものだ


どう生きてきたか

どう生きているか

どう生きていくか


後悔のないように




2021/05/24 Time is life




そこに、“自分らしく”という但し書きを付けると、
きっと最高の人生になる――




  6年前、
  母が甲状腺がんの転移で亡くなった

  「余命2か月」を告げられたとき、

  「時が止まってほしい」

  そう思った


  いくら頑張ってみたところで、
  時間は止まらない

  一秒一秒、
  母の命は短くなってゆくだけだ

  抗えない現実がそこにはあった

  ただ、その瞬間(とき)が来るのを、
  何もできずに待つしかない


  “無力”というには、あまりにも簡単である


  あのときの一瞬一瞬は、まさに母の命

  刻まれる時間(とき)は、母の鼓動...



  あんな思いは、もうしたくない




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葛藤と躊躇。そして、「進むしかない」という決断。

“乳がん”は、自分でみつけることができる、
数少ないがん


「たまたま触った胸に、
 硬いしこりのようなものがあった」

「セルフチェックでみつけた」


など、検診以外でしこりに気づくことも多い



私もみつけたのは“たまたま”だった

まだ30代

“がん”なんて考えたこともなかった


今でこそ、

『乳がん検診を――』


そんな呼びかけも増えているが、
当時は耳にしたこともなければ、
目にしたこともなかった

  いや、
  今、こうして自分が乳がんになったからこそ、
  検診の呼びかけに
  気づくようになったのかもしれない




しこりをみつけたとき、
真っ先に頭に過ぎったのは、
当然のことながら、“乳がん”

『しこり=乳がん』

だと思っていた

  良性の腫瘍もあるらしい

  まさに、
  私が診断された、それである




その日は眠れぬ夜を過ごすことになる

「しこりがなくなっていますように」

と、一晩中、乳房に触れては、
しこりが消えていることを祈った


「触っていれば、
 そのうち砕けてなくなるかもしれない」

そんな馬鹿なことを考えたりもした


「いや、触っているうちに大きくなるかも」

と、恐怖にも襲われた


一晩で何十回、しこりを確認しただろう

触るたび、

「やっぱりある」
「まだある」

「“おっぱいに何か入っている”ということは、
 このままにしておいてはいけない?
 取り出さなければならない?
 でもこれが、“がん”だったら?」――



そう、必ず取り出さなければならない

“乳がん”だとしたら、
放置していれば、進行していく

自然に消えることはないのだ


そしてそれは、
少しでも早くに取り出さなければならないもの

“治療をしなければならない”ということ



躊躇した

病院に行って検査を受けて...

「乳がんと言われたら...」


それが怖くて、前に進めなかった

乳がんだとしたら、生活は一変するのだ

今のこの生活ができなくなってしまうのだ


「このまま、なかったことにしたい」


と、
しこりがあることを見てみぬふりをしようと思った


が、時間が経てば経つほど、
残された命が短くなってゆくということだ


「私はどうすれば...」


時間を戻すこともできない

しこりをなかったことにもできない

「このまま病院に行かなければ、
 きっとズルズルとそのままにしてしまいそうだ」


そして翌日、私はクリニックを受診する




私は運がいいのかもしれない


それは、しこりの再受診*をしたのは、
リストラをされ(もう“死後”である)、
病院に行く時間があったから

  *)・・・しこりをみつけた当初、
      「良性腫瘍だから特に治療もないし、
       そのままにしておいていいよ」と
      言われていた

      が、5年後、
      3倍くらいの大きさになったため、
      簡単な気持ちで切除しに
      同じクリニックを受診したのだ



あのまま仕事を続けていたら、
きっと数年、病院には行かなかっただろう、
行けなかっただろう

約5年放置していたがんを、
さらに数年放置していたかもしれない


そう思うと、
今、こうして生きていられることは
運命だったのだろうか


いや、本当に“運命”があるとしたら、
最初にしこりをみつけた段階で、
がんを見抜いてほしかった

いや、5年放置したことも、
きっと、なにか意味があるのかもしれない


...と、思ってみよう――




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がん治療が、もっと簡単だったら...。

がん治療は、やっぱり簡単なことじゃない


乳がんの場合、
女性の大切なおっぱいを切らなければならない

が、
大切なものを失ったからといって、
命が保証されるわけでもない



そしてがんは、
“取り除いたから終わり”という病でもない

ほとんどの場合、
術前・術後療法がある

なによりつらいのは、
その薬物療法の副作用だ


化学療法をすれば、
吐き気や様々な体調の変化に襲われ、
髪の毛も抜ける

ホルモン治療をすれば
更年期の症状が現れ、
数々の不調に陥る

放射線治療も、
皮膚が焦げる、痒みが出る、
倦怠感などの副作用がある


そしてがん治療は、
とにかく長い月日を費やす

ホルモン療法に至っては、
5年もしくは10年

病状によっては(化学療法含め)、
もっと長いつきあいになる



もっと簡単に治療できたら...

副作用のない治療があったら...

治療をすれば、確実に治る病気だったら...



たとえば、
腫瘍に薬を注射すれば、がん細胞が死滅する

たとえば、
脱毛や吐き気がない化学療法

たとえば、
ホットフラッシュや
子宮に影響を及ぼさないホルモン薬...


そしてその治療は、
“治る”という保証が付いている――



そんながん治療は、絵空事なのだろうか

そんながん治療は、理想でしかないのだろうか

そんながん治療は、夢でしかないのだろうか...



きっと、

がん患者も家族も、
がんを研究している人たちも、

誰もが望んでいるのは、“完治”


そんな未来が現実になるのはいつなのか


そして本当に、
“完治する時代”は来るのだろうか――



  もっと言えば、
  もう少し治療費が安ければ...




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そんなサイクル。

『緊急事態宣言』下


どこへも行けない週末




だだっ広い北海道


私の地域は

強い要請は出されてはいないものの、

それでも、

きのうの知事の道民への熱いお願いを聞いていると、

心に響くものがある



しかも、

朝刊にも大きく『自粛』の広告が掲載されている



北海道全体、そして私の地域も

医療が逼迫しているのは確かな事実だ





...ということで、今朝は詰め替え作業


  こんなときに無くなってくれてよかった...



2021/05/22 詰め替え




ひとつひとつ、使う量が違っても、

その都度、ひとつひとつ詰め替えても、


数か月に一度、

一気に詰め替えの時期が重なるときがある



それが今日である





さ、詰め替えが終わったら、

ゆっくりコーヒーでもいただこう




ああ、雨が降りそうだ...



  “ひとりひとりの自覚と行動が大切”

  そう信じよう




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『乳腺外科』はないけれど、なにか問題でも?

私が通っていた病院には、
『乳腺外科』がない

なので、“乳がん”になると
かかる診療科は『外科』になる

そのため外来や病棟には、
様々な病気の患者がいる

そして患者の多くは年配の人たち


人目が気にならないわけがない

気にしないようにしても、視線は感じるもの

顔がこっちを向いているのが
視界に入ってくるのだ


「あの人は何の病気? まだ若いのに、がん?」


そんなことを思いながら、
きっと私を見ていたのだろう

  ㊟60代や70代の人から見れば、
   まだ私も若い方だった


それは病棟でも同じだった

隣の病室のオバサマたちは、
興味あり気に近づいてきた

そこが、『外科』という大きな括りだったため、
病気を詮索されるのだ

当然のことながら、病棟は男性の患者もいる

なんとなく、バツが悪い感じがした



もし、『乳腺外科』があったら...

そうすれば、少しは気持ちも楽だっただろうか


いや、もしかしたら、

「あなたも乳がん?」

なんて、誰かに声をかけられたのかもしれない




時々、

「この病院に、乳腺外科ないですもんねー」

と残念がる人がいる


私は、

「乳腺外科がないことが、
 そんなに重要なことなのかな」

と、思う


『外科』であっても、
乳がんの知識をしっかり持っている医師たちは
当然のことながらいる

たとえ『乳腺外科』があったとしても、
信頼のできる医師だとは限らない

「乳腺外科がない」と残念がる人は、
ただ、『乳腺外科』という言葉に
惹かれている気がするのだ


私は、

“今の病院、今の診療科で、
 充分な乳がん治療ができる”

と、思っている


それに、『乳腺外科』があれば、
患者は女性ばかり

乳がんは女性だけではなく、男性も罹る病だ

男性が、
そんな女性ばかりの待合室に来るのは、
かなりの抵抗があるだろう

そう言う意味では、『外科』は、
何の病気かわからないという利点もある




数年前、この地域に
『乳腺外科』ができた病院がある

が、結局、“名前だけ”

乳腺専門医はいない

診るのは、“外科医”なのだ


それでもひとは、
『乳腺外科』にこだわるのだろうか――




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りかこプロフィール

 
■2009年5月より
医療機関開催『がんサロン』発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆
(■2026年2月よりピアサポーターとして『ピアサポーター通信』を新たに執筆開始)

■2010年9月
市広報にて体験記掲載

■2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

■2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

■2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

■2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

■2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

■2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

■2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

■2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

■2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

■2025年10月
北海道医療ソーシャルワーカー協会主催『がんピアサポーター養成研修会』受講終了

■その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

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■国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

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■2024年より
子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

■2024年10月
市民観光アンバサダー就任

乳がん履歴
■2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

■2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

■2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

■2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

■2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

■2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

■2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

■2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

■2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
■がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER  90%
 ・PgR 10%
 ・HER2(-)

■術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

■治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
■2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫   1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫  4個

■2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症に進行(両足)

■2024年10月
 骨粗鬆症判明

■2025年10月12日
 突発性難聴発症(左耳)
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
■2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

■2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

■2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

■2009年5月
 頸部再発
 (切除手術後、放射線治療を受ける)

■2012年5月
 肺転移確認

■2015年5月
 小脳転移確認

■2015年7月18日
 永眠

  ※遠隔転移後の治療法・治療薬なし
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≪2015年9月2日より、コメント欄を閉鎖させていただいております≫

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≪2016年12月3日分より、コメント欄を閉鎖させていただいています≫

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≪ランダムで開放しています≫

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   © Rikako,2011

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