紹介された先生の診察は、その曜日の午前が担当だった
もうとっくに診察時間は過ぎていたにもかかわらず、
「診てくれる」ということだったので、とにかく急いだ
診察室に入ってまず驚いたのは、その医師の若さ
前の先生が結構な歳だったので、
『その先生の紹介だからまた“オジチャン先生”だ』と勝手に想像していたのだ
それに今まで病院なんて、風邪で個人の医院へ行くぐらいなもん
しかも、そういうところはほとんどが“オジチャン先生”ときてる
中には“おじいちゃん”と言ってもいいくらいの人もいたりで...
この病院へ来て何より驚いたのは、職員の対応の良さだった
一昔前、二昔前の病院のイメージとはまるで違っていた
その医師と――主治医とこれまでの経緯などを話したあと、
主治医は私の乳房を触診し、こう言った
「しこり、まだ残ってるみたいだね」
『やっぱり残ってたんだ...』
手術の前に、転移などを調べるためのCTやら骨シンチやらの検査をするらしい
『4年8ヶ月も放っておいたんだ。きっと身体中に転移してるだろうなぁ・・・』
検査の予約をし、そのまま帰れると思っていたら、
紹介状の返事を持って、また前の病院へ戻らなければならなかった
『またあの病院に行かなきゃならないの?
またあの先生の顔、見なきゃならないの?』
再び前の病院に戻ったが、
用が済むと、何か悪いことでもしたかのように私はそそくさとその病院を出た
早くその場から逃れたい一心だった
『二度とあの医師の顔は見たくなかったのに...』
医師も、一度も私の方を見ることはなかった
一度でも、こっちを見てくれていたら・・・・・・

