私が放射線治療を受けたのは、もう5年も前のこと――

主治医からは、
「20回くらいかけることになるよ」

そう言われていたのだが...

「おっぱいにがん細胞残ってるね。
 念のためにあなたの場合、23回照射しましょう」

術後の検査の結果、やはりがんは残っていたのだ
放射線の先生に改めて言われると、ちょっとショッキング...

しかも私の場合、通常乳がんには見られない珍しいがん細胞ときてる
さらに違うがん細胞も混在している可能性もあった

『あんな思いまでして“温存”したけど、やっぱり間違ってたのかなぁ...』

そんな後悔が見え隠れする

確かに私の事例だと、“全摘”がセオリーだったのかもしれない

「悩んで“温存”にしたことは、良かったと思うよ」

以前、主治医にそう言われたことがある
私の不安、感じ取られちゃってたのかな...

でもその一言は、
患者にとっては嬉しくもあり、力強い言葉でもあった


...という訳で、放射線治療が始まり――

放射線は、上半身裸で台に仰向けに寝て、ただじっとしているだけ
照射自体は数分で済むし、痛くも痒くもなく、楽な治療ではある

ただ、腋窩リンパ節郭清をした人にとっては、けっこうつらかったりする

なぜかというと、
“バンザ~イ”の姿勢を取らなければならないからだ

腋窩リンパ節郭清をすると、腕が上がらなくなる

私もその術式を受けていたため、
その頃、90度ほどしか腕が上げられなかった私にとっては、
それが何よりつらかった


毎回確実に同じ場所に照射をするために、
当時、胸にはマーカーをつけられた

ペンのようなものに特殊なインクを付けながら、
おっぱい周辺に線を描いていくのだが...

これが、最初、とても滑稽に思われた

だって...

  薄暗い照射室の中、
  私は上半身裸で、台に“バンザ~イ”で横たわっている

  胸には照射の場所を示す光が当てられて、ちょっと幻想的...

  私が横たわっている台の両脇には、男性の放射線技師さん

  そしてその台は、技師さんたちの胸の高さまで上げられ...

  私は左右からその男性技師さんたちに
  あらわになったおっぱいに、ペンのようなもので線を描かれる――

  これがまた、ちょっと冷たくて、くすぐったい

  さらに、私の足元にいる女性の看護師さんがその光景を見守っている...

それがなんかとっても奇妙な光景に思えてきて、
おかしくておかしくて、今にも笑い出してしまいそうだった

もう笑いをこらえるのに必死

『なんか、ヘンな“プレイ”してるみたい...』

そんなふうに感じてしまった私って...


1日2回、朝と午後に放射線を受けていた
それでも治療が終わるまでは3週間ほどかかってしまう

お風呂に入るときは、
なるべく描かれた個所をこすらないようにしてはいるものの、
やはりインクも当然薄くなっていく訳で...

週に一度は描きなおす作業が行われることになる

『あの光景が再び...?』


そんな、ちょっと恥ずかしくて、ちょっと面白い、
りかこの放射線体験でした――


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