『美化』――

そう...ある医療関係者のこの一言に、私は救われたことがある


それは、以前、『がんサバイバーの社会的排除』
という記事を5回に分けて書かせてもらったが、
そのデータを集めるために、
北海道のがん患者にインタビューを行っていた女性だ


私は、乳がん手術後2年が過ぎても
子供が生めなくなったことを未だ引きずっていた

そして、そんな私の気持ちに追い打ちをかけていたのが、
あるドキュメント番組だった

それは、“若くして乳がんになり、治療をせずに出産をする”という、
命を懸けた、まさに“美談”だった


医療関係者である彼女との出逢いは、そんな矢先のことだった

  私は子供を生むことを諦めた
  子供より、自分の命を取った

  結局、自分がかわいいだけなんだ

  情けない...

そう言う私に彼女はこう言った

「ああいう話は、“美化”されている。だから比べることはない」と...

  放送されているのはほんの一部
  いいところだけ取り上げてる

  本当は、そんなきれい事じゃない

  誰でも自分がかわいくて当たり前
  自分の命を守って当然――


番組を制作する側...

取材を受ける患者...

そして視聴者...

そこにはきっと、それぞれの違った思いが存在するのだろう

それは、接点の見えない平行線

その“ギャップ”こそが、がん患者への偏見を生み、
がん患者の社会的排除を引き起こしているのかもしれない――


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