がん経験者にとって最も不安なのは、
どこかが痛むこと
それは、“転移”を疑うからだ
「腰が痛くなれば、骨に転移したのか...」
「咳が出れば、肺転移か...」
と、誰もがきっと、
そんな不安に陥ったことはあるだろう
ご多分に漏れず、私もその中の一人だ
誰もが感じている不安を、
これまで何度も何度も抱いてきた
「あぁ、また腰の調子が悪いなぁ...」
と、
今ではそんな痛みにもすっかり慣れてしまったが、
それでもどこか、楽観視できない自分もいる
そこにはまだ、
“完治”には至っていない現実があるからなのかもしれない
いや、“完治”といわれている20年が経ったところで、
この不安は本当に消えるのだろうか...
そして、この痛みに慣れてしまうのも
実は怖かったりもする
それは、本当に転移をしたときに
遣り過ごしてしまいそうな気がするからだ
転移の痛みは、
きっと、転移した人にしかわからない
私がいくら想像してみたところで、
その痛みを感じることはできない
「単なる腰痛と骨転移の痛みの違いの判断が
つくのだろうか...」
以前、こんなことがあった
私がお世話になっていた整骨院
そこに、母も通っていた
たまたま母は、
そこで知り合いに会ったらしい
「いやー、腰が痛くて...」
と、整骨院に通っても、
なかなか痛みが引かないことを
母に話していたようだ
が、暫くして、その方は亡くなった
腰痛は、がんの転移だった
もちろん、本人は、
自分ががんに侵されていることは知らなかった
当時、整骨院は、
レントゲン撮影をしていなかった頃
撮っていれば、異常に気づけたはずだ
時々、考えるのだ
がんの痛みがどのようなものなのかを...
そしてその時、
自分自身がそれに気づけるのかを...
時が経てば、
確実に再発の不安は小さくなってゆく
が、完全に拭えるものではない
何年経とうが、頭の片隅に、
“再発”の文字は深く刻まれている
「一生だよね。ずーっと。終わりはない」
がんを経験した人はみな、
そう口を揃える
“がん”という病が一筋縄ではいかないことは、
誰もがわかっているのだ――
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