りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。視触診だけで簡単に下された診断。そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。“良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

がん教育

未だに存在する差別と偏見 ~「がんはうつる」「がんは遺伝する」~

「がんはうつる」――

そんな言葉を初めて聞いたのは、
今から12年ほど前

もちろん、私が乳がんになってからだ

「世間ではそのような偏見を
 持っているのか...」

と、驚いた


それは北海道の、
とある地方局のテレビ番組

『がんの特集』を放送しているときだった

生放送の番組ということで、
リアルタイムで
視聴者からの経験談を募集していた

そんな中で紹介されたエピソードに
私は耳を疑ったのだ

それは
乳がんになった女性の話

温泉好きのその女性

「温泉に行きたい」と
妹に話をしたそうだ

が、妹から返ってきた言葉は、

「なに言ってるの? 行ったらダメだよ。
 がんがうつるでしょ」

そう言われたそうだ


学校では生徒の親が、

「○○くんのお母さんはがんだから、
 仲良くしちゃダメ」

といった、
にわかには信じられないことも
実際にはあるようだ

こんな時代になっても、
「がんはうつる」という話は
なくならないのだ



「がんは遺伝する」――

“遺伝性のがん”があることは確かだ

が、実際には、遺伝性のがんは
“5~10%”と言われている

しかも、
遺伝子検査で“陽性”と出た場合でも、
必ずしもがんになるとは限らない


“がんは遺伝する”というより、
家族での生活習慣が
原因となっている場合も考えられそうだ

たとえば、

 ○長年、家族と同じ食生活をしている
 ○家庭内に喫煙者がいる

などだ


中には、

「遺伝子検査で陽性が出たため、
 生命保険への加入を拒否された」

という話や、

「あなたががんなのだから、
 子どももがんになるね」

「親ががんだから、
 あなたもがんになるね」

そう言われたケースもあるとか

  ※生命保険に関しては、
   業界団体で遺伝子情報を
   審査には使わない方針



2020年からはじまった『がん教育』

  2017、2018年に改訂された、
  学習指導要領では、

   ○2020年から小学校
   ○2021年から中学校
   ○2022年から高等学校

  で、『がんの授業』が必修化された

  がんに関する科学的根拠に基づく理解や、
  がんに対する正しい知識を深めるのが目的

  医療従事者やがん経験者などが
  “外部講師”として実際に学校に赴く授業も
  おこなわれている
  (“がん教育外部講師”も増えてきて、
   各団体では育成にも力を入れている)

   ちなみに私も“がん教育外部講師”


子どもたちががんの正しい知識を身につけ、
がんに対する差別や偏見のない社会を
築いてくれることを願おう――




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「がんはうつる」

今から10年くらい前だっただろうか

「がんはうつる」

という話をしているひとがいて
驚いたことがある

いや、実際、
そんな話は珍しくはなかったようだ

  ちなみに私が聞いた話では、
  お姉さんが乳がん

  お姉さんは温泉が好きだったが、
  乳がんの手術後、妹さんが、

  「乳がんがうつるから
   温泉には入らないで」

  と言ったそう


“10年前”というと、
すでにがん医療は進み、
がんへの知識や意識も高まっていた

正直、

「未だにこんなふうに
 思っているひとがいるんだ...」

と、思うと同時に、

「世間のがん患者への目は
 偏見だらけなんだな」

そう感じた


が、それはなにも
10年前の話だけではなく、
この時代に、
そんな誤った知識を持ったひとたちが
まだいるようで...

先日、小耳に挟んだのは、
子どもたちの差別

「がんはうつるから
 がん患者には近づかない」

...というものだった

そんな現実があることに衝撃を受けた

その裏には、
親の存在があるのだろうか

「あの子はがんだから
 近づいたらダメだよ」

「あの子の親はがんだから
 仲良くしちゃダメよ」

そんなふうに自分の子どもに
囁いているのが目に浮かんだ



今、学校では
『がん教育』がおこなわれている

  小学校は2020年度から、
  中学校は2021年度から、
  高校は2022年度から
  必修化されている


内容としては、

“がん”という病がどういうものなのか、
がんの原因はなんなのか

がんにならないためには、
どのような生活習慣をおくればいいのか
(食事・運動・喫煙・飲酒など)

がん検診の大切さ

そして、健康や命の大切さなどだ


その中には、

“がんと向き合っている人たちへの
 理解を深める“

というものがある

これ、私たちがん経験者が
一番求めているもの

「がんだから」と、
差別や偏見があってはならない

今の子どもたちが
『がんの授業』を通して得た知識を
おとなになっても忘れないでほしい

そして今のおとなたちに
しっかり伝えていってほしい



私ががんになった頃より
今は遥かに社会的な偏見は減っている

それでも未だに根深い、
“がん”という理不尽な蔑視

「日本人の2人に1人が
 生涯のうちなにかしらのがんにかかる」

そう言われているのに

  厳密には、“1.713人に1人”?
  (詳細はきのうのブログへ)

誰が罹ってもおかしくないのに


その闇はきっと、
昔は“死の病”だったからなのだろうか

“死の病”は、なぜ蔑視や差別、
偏見を受けなければならないのか


「がんはうつる」――

そんなことを
誰が言いはじめたのだろう

都市伝説にもならない話である




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『ワールドキャンサーデー』

今日、2月4日は、

 『ワールドキャンサーデー(世界対がんデー)』


  【ワールドキャンサーデー】とは――

    2000年2月4日、
    国際対がん連合(UICC)がパリで開いた、
    『がんサミット』からはじまった取り組み

    “世界中の人たちが
    がんのために一緒にできることを考え、
    行動を起こす日”として制定

    毎年全世界で何百人にも上る、
    予防可能ながんの死亡者を救うのが目的で、
    日本でもがんを巡る諸課題の解決や、
    がんとの共生を考える催しを毎年おこなっている
 


その昔、がんは“死の病”と恐れられていた

が、今では“生活習慣病”に位置づけられている


  “生活習慣ががんをもたらす”ということは
  頭では理解できても、

  がんを経験した者としては、
  未だに、“生活習慣病”という括りには
  違和感を抱いてしまうのだ



そんな、“生活習慣病”のがん

学校での『がん教育』も進み、
今では、小・中・高校合わせて、
全国で60%強の『がんの授業』がおこなわれているようだ

  今年4月から新しい学習指導要領により、
  中学校では“授業”として取り入れられる


過度な飲酒、喫煙、塩分の摂りすぎや、
熱いものの摂り方、野菜の摂取不足、
適度な運動や肥満に気をつけることで
がんのリスクが減ることを考えれば、
子どものうちから学習することは大切なことだろう

そしてそれらを、
子どもたちから親へと伝えられる機会でもある


以前、小学校の低学年の『がんの授業』で、
授業が終わったあと、一人の生徒がお父さんに、

「たばこは吸わないでね」

という手紙を書いていたCMがあったっけ...



“がん”といえば、“社会的排除”という言葉がつきまとうほど、
世間での偏見は少なくない

  私もその“偏見”とやらを経験してきた一人である

今でこそ“がん”という病が周知されてきたものの、
それでも職場復帰が難しいことや、
解雇などの話もある

子どもの頃から“がん”という病を知っていれば、
これからの時代、
がんへの偏見や蔑視がなくなるかもしれない

  ...と、期待したい


“日本人の2人に1人ががんに罹る”――

そんな時代に、偏見を持っている場合ではないのだ

がんは、今や、治療を続けながら働ける時代

がんでも夢を抱いていい

がんでも、希望を持っていい

「がんだから...」と、諦めなくていいのだ

“治る病”になりつつある“がん”

がんと共存する時代なのだから...



偏見のない世界へ――




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必要なのは、“子どものがん教育”より“企業のがん教育”?

各地で広がっている、“子どものがん教育”

医師が学校で出張授業を行ったり、

また、がん経験者が直接、
声を届けることもある


  ☆参考資料

   『よくわかる! がんの授業』

    ※右サイドバー【リンク集】にリンクあり



そして、“進んでいる”と思われがちな、
“がん患者の就労問題”

数年前から
国や自治体が力を入れはじめてはいるものの、
上辺だけのきれい事に思えてならない

根底には、遅々として進んでいない、
企業のがんへの偏見と理解がある


これほど増えている働き盛りのがん罹患者

治療をしながら働ける時代にもなった

がんになったからと言って、
すぐに寝たきりになる訳ではない

やりたいこと、夢、希望を持ちながら
自分の人生を歩いていける時代だ

が、未だに解雇をされたり、
就職に不利になったり、
仕事を与えられないなどという話を
耳にするのが現状だ


『“がん教育”は子どもたちより先に、
 大人である“企業”に向けて
 進めていくべきなのではないか』

...と、強く思うのである



がんであることを隠して就職をしたり、
がんになっても職場には告げずに有休を取り、
手術・治療を受けたり...

そんな話を聞くと、
なんとも理不尽な思いがする

そして、

「がんであることがバレやしないか...」

「もしバレたら、クビになるかもしれない...」

そんな思いを抱きながら、
日々を過ごしていることも



本当に、がん患者が“普通に”
働ける日は来るのだろうか


きれい事ではない、真の改革が、
進んでいくのだろうか


理想の社会は、
まだまだ遠いような気がするのである――



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『いのちの授業 ~広がる“がん教育”~』。多くの命が奪われた3月11日。

全国に広がりつつある“がん教育”

教師による授業はもちろんのこと、
医師やがん体験者による出前講義として
学校に出向くこともある

が、交通費などの経費が
課題のひとつとなっている


“がん教育”は、
“がん”という病気のことはもちろんのこと、

同時に“いのちの大切さ”も伝えてゆく

いじめが多い中、
自殺をしてしまう子どもたちも増えた

軽視されがちになってしまった“いのち”

『限りあるいのちを自分らしく生きる』ことを
伝えてゆくのだ


そんな中、ある人の言葉が胸を衝いた

いのちの授業に参加した、あるがん経験者だ


  あなたはあなたのままでいい。

  生きているだけで金メダル。

  未来に生きるあなたたちに、
  いのちをバトンタッチします――。


そんな言葉を残して、その方は亡くなった


そして奇しくも、今日――3月11日は、
東日本大震災が起きた日

この日、多くの尊いいのちが奪われた

6年という月日が流れても、

あの日の悲しみは
今も変わらず続いている

私の街にも、
被災地から逃れてきた人たちが住んでいる

被災された人たちの心の傷は、
私たちには計り知れない


そして今日は、父の誕生日でもある

6年前、私が実家を追い出され、
1年8ヶ月前、母が亡くなり、

一人、あの家に残された父


「ちゃんと生きてるかな...」



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りかこプロフィール

 
■2009年5月より
医療機関開催『がんサロン』発行による『がんサロン通信』にて、体験記・エッセイ執筆
(■2026年2月よりピアサポーターとして『ピアサポーター通信』を新たに執筆開始)

■2010年9月
市広報にて体験記掲載

■2011年8月31日
乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』書籍自費出版

■2012年1月21日
講演『乳がん闘病記 ~「ありがとう」と「感謝」の気持ちに至るまで~』

■2012年4月5日
FMオホーツク『乳がんについて』FPとの対談

■2012年4月
キーストーンアライアンス『百年シナリオ通信』記事掲載

■2013年6月より
医療サイト『ドクターズガイド』、ブログ掲載

■2016年9月14日
フジテレビ『めざましテレビ ~がんの見落とし~』ブログ紹介・インタビュー放送

■2020年3月
一般社団法人全国がん患者団体連合会『がん教育外部講師講座』修了(北海道教育委員会にがん教育外部講師として登録)

■2021年10月
『がん予防功労者表彰』(道・市・健康づくり財団・対がん協会4社共催)

■2023年5月
北海道がん患者連合会『がん教育講師派遣養成研修会』終了

■2025年10月
北海道医療ソーシャルワーカー協会主催『がんピアサポーター養成研修会』受講終了

■その他
講演、ピンクリボン運動、ピアサポーターとして活動中

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

■国家資格
1994年10月、調理師免許取得(食と健康を考える乳がん経験者)

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

■2024年より
子ども虐待防止『オレンジリボン運動』サポーター

■2024年10月
市民観光アンバサダー就任

乳がん履歴
■2002年3月3日(日)
 左乳房にしこりをみつける  

■2002年3月4日(月)
 視触診の結果“良性”と診断

■2006年11月8日(水)
 左乳房のしこり再受診  

■2006年11月15日(水)
 左乳房のしこり一部切除
  (外科的生検)

■2006年11月28日(火)
 乳がん告知      

■2007年1月11日(木)
 左乳がん手術

■2008年7月8日(火)
 局所再発の疑いで、
 細胞診・組織診(結果は良性)

■2009年2月17日(火)
 対側(右)乳がんの疑い
 (前年からしこりあり)経過観察

■2010年2月16日(火)
 右乳房細胞診(結果は良性)
手術・治療の経緯
■がん細胞の種類(しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)
  (化学療法・放射線が効かない稀ながん細胞)
 ・非浸潤性乳管がん

 ・核グレード 2
 ・ER  90%
 ・PgR 10%
 ・HER2(-)

■術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・乳房扇状部分切除(4分の1強切除)

■治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤、
  4週間毎、2年間(25回)投与
 ・抗エストロゲン剤(クエン酸タモキシフェン)、
  5年服用
その他の病歴
■2006年5月
 子宮筋腫(漿膜下筋腫)核出術(10㎝の開腹手術)
  ・10cmの筋腫   1個
  ・8cmの筋腫   1個
  ・2~3cmの筋腫  4個

■2023年7月18日
 ・臼蓋形成不全発覚(先天性)
 ・変形性股関節症に進行(両足)

■2024年10月
 骨粗鬆症判明

■2025年10月12日
 突発性難聴発症(左耳)
母の甲状腺がん(乳頭がん・転移性がん)
■2006年11月(私の乳がん告知の約2週間前)
 甲状腺がん告知

■2007年1月(私の乳がん手術の2週間後)
 甲状腺摘出手術・頸部リンパ節郭清

■2007年5月
 術後療法(RI治療・1回)
  通常2~3回の治療が必要なところ、
  1回の治療で身体の中にがんがないことが
  確認される

■2009年5月
 頸部再発
 (切除手術後、放射線治療を受ける)

■2012年5月
 肺転移確認

■2015年5月
 小脳転移確認

■2015年7月18日
 永眠

  ※遠隔転移後の治療法・治療薬なし
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